Newbe(ニュービー)が注⽬する起業家やクリエイターをゲストに迎えたインタビューコンテンツ
GAME CHANGER- 時代を動かすキーパーソン-
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Mediam というウィメンズとキッズのブランドを夫と二人で展開しています。洋服というジャンルにとらわれず、自分たちがその時々で興味のあるものを形にしてアウトプットできるような場を作りたいという思いでこのブランドをスタートさせました。
お客さまのクローゼットの中にすでにある洋服とコーディネートすることで、更に楽しめるようなアイテムが多いブランドです。私自身、古着が好きで、新しい物を買うときはそれらの着こなしを広げてくれるようなアイテムを選ぶことが多いので、すでに持っている洋服とブリッジできて、自分らしくアレンジできるような程よい余白を意識しながらデザインしています。新しく必要なものって実はそんなに多くなかったりするので、今持っているものをさらに大事にしながら、Mediam が加わることで刺激となり、一人ひとりのワードローブの循環につながればと思っています。
私は普段から一つの着方だけでは満足できないタイプなんです。「あ、こんな着方もある」「こんな着方もしてみたい」とか、もともと作った方も意図していないようなアレンジをすることで、新たな一面を引き出すようなスタイリングをするのが好き。大好きな古着からもそうですし、これまでにお仕事などで関わる機会のあったスタイリストさんとの出会いなど、いろんな刺激があって今の私が出来上がったのかなと思います。「こんなふうに着れるものがあったらいいのに」という日々のちょっとした気づきや思いがきっかけとなり、どのくらい汎用性があるかを模索して形にするという感じです。
前職では、レディースブランドのディレクターを11年ほどさせていただいたのですが、すでに形のあるブランドの中で求められること以外に、もっと私自身が思うことを形にできる場所を作りたいなと思うようになったのがきっかけです。ちょうどその頃、夫も独立を考えるタイミングだったようで、だったら一緒にやる?という感じで二人でブランドを立ち上げました。私はずっとデザインをやっていて、彼は営業でキャリアを積んできていたので、お互いの得意分野を担当しながら続けて、気づけば8シーズン目に入りました。
そうですね。キッズの展開は考えていなかったのですが、よく掘り下げて考えてみると、本当に自分の子供に着せたいと思える服に出会えていないことに気がつきました。とはいえ、世の中にはいろいろな種類の子供服がある。だとしたら、すでに持っているものにプラスすることでコーディネートの幅がさらに広がるようなアイテムがキッズにもあったらすごく楽しいんじゃないかと思って。Mediam という一つの世界観を持ちながら、大人も子供も、親子でも自由に楽しめる。手にした人の色に染まり、その人らしく着てもらうのが願いです。
一番最初のシーズンから続けているキッズのベルボトムです。これは大人もメインでずっと作っているデザインなのですが、裾が広がっていると転びやすかったりするので、自分の子供に着せながらディティールを詰めていって、小さい子供が穿いても危なくないバランスを探り、シルエットにこだわって作りました。完成したパンツを履いた姿は本当に可愛くって、よちよち歩く姿を目に焼き付けたくなるくらい。こういうデザインのアイテムが一点スタイリングに加わるだけで、さらに我が子が愛おしくなりますよね。他にも、幼児から小学校低学年くらいまで着ることのできるハイネックのジレがあります。ストレッチの効いたニットで作っていて、サイズ展開は1サイズ。手持ちのトップスに重ねることでポイントになって可愛いし、暖かい。なおかつ、子供が嫌がらない肌ざわりというのもこだわりです。自分の子供が成長して着れなくなっても誰かにまた着て欲しいと思える、捨ててしまうことにつながらないフックが残るようなデザインというのはずっと意識しています。
長く着られるということも重要なポイントです。背が伸びて、短くなった裾から靴下がチラッと見えるスタイリングがまた可愛かったり。我が家でも保育園では汚れてもいい服を着させていますが、土日のお出かけの時はお気に入りの服を選んで、一緒におしゃれをして出かけたい。私自身、小さい頃におばあちゃんが編んでくれた毛糸のズボンを母が着せてくれた記憶があって、大人になってからも時々思い出すんですよね。「私はなんでこれが好きなんだろう?」と思った時に思い返してみたら、「そういえばこんな記憶あるな」みたいに。Mediam のアイテムも、いつか子供たちがふとした瞬間に思い出すギフトのような存在になれればいいなと思っています。
今あるものを大切にしていくという視点で、リメイクやアップサイクルしたアイテムも提案していきたいと考えています。21AWからジュエリーアーティストの父 Shinji Nakaba がデザイン監修をして、弟の作家 MOTO が制作するコラボレーションジュエリー「 Jewerly for Symbiosis 」をスタートさせました。父の作品は、空き缶のアルミを素材に使っていたり、希少性や価格の高低に関わらず、全て平等に扱うことで、素材に秘めた可能性と新しい美しさを引き出すという魅力があって、Mediam のフィロソフィーとも深くつながっていると感じています。柔軟な視点を持ってものごとをとらえることで、可能性は広がっていく。温めているアイデアもあるので、これからも積極的にアクションしていきたいです。
いっぱいあったはずなのですが、忘れちゃいました。いつもその時その時で無我夢中で常に新たな壁が出てくるので、更新されすぎて(笑)。「絶対に越えられない壁はない」とどこかで思っているのですが、そう思うということは、なんだかんだこれまでも越えてきたということなのかなと。今は3人の子育てと仕事のバランスという最大の壁に挑んでいる最中です。
今もこれまでも「人生一度きり。やらずに後悔するより、結果がどうであれ思い切りやりきりたい」という気持ちがあります。そう思えるのは、いつも私を信じて、何があっても受け止めてくれる両親や、家族がいてくれるから。だからこそ、立ち向かう勇気が持てるのだと思います。一つ壁を越えるたびに逞しくなっていく自分を感じるうちに、「次の壁を超えたらどんな景色がみられるのだろう?」と、ある意味楽しみになっていたりもするんです。
泣くことですね。泣くことを我慢する人ってすごく多いと思うんですけど、私は泣いたほうがいいと思うタイプ。泣くとスッキリして仕切り直すことができます。昔はお酒を飲むとかカラオケに行くといったことで発散していましたが、もっとシンプルに泣くこと。これほどデトックスできることはないと今は思っています(笑)。
あまり大きな目標はなくって、これからも健康で楽しく、子供たちが笑顔でいられる時間をもっと作れる生き方をしたい。そのためには少しずつ環境を変えていくことも視野に入れながら日々過ごしています。いつだって大変に思うことはあるけど、そこにも小さな幸せを見つけることで楽しさに変えていく。そうすることで、さらに楽しくなるんじゃないかなって。
Interview & text Mikiko Ichitani
Photography Eriko Nemoto